シーン25:虚無からの脱出〜モル〜
第3階層。
イームスが警備兵と戦闘を繰り返しながら、建物の支柱に爆弾を仕掛けて回っていた。
心配停止状態で倒れているロバートの前で、衰弱して座っているサイトーは、自分達も通って来たダクトを敵が上がってくる気配を感じ、手だけで拳銃をダクトに向かって発砲し、けん制していた。
しかし、それだけでは、いずれ上がってこられる事になるので、サイトーは力を振り絞って手榴弾の安全ピンを抜き、ダクトに投げ込む。
ダクトを登ってきていた警備兵は慌てて引き返すが、爆風に吹き飛ばされる。
手榴弾を投げ込んだサイトーは、力尽き、絶命する。
そこへ帰ってくるイームス。
力尽きたサイトーを見て表情を曇らせる。
第2階層では、アーサーがエレベータの箱を爆風で推進させるための爆弾を仕掛け終わって、箱の中で浮いたまま眠っているメンバーの元に戻り、「キック」を知らせる音楽を鳴らし始める。
第3階層のイームスは、響き始めた音楽に、上でのキックが近いことを知り、ロバートの蘇生を実行すべく、ADE装置をの電極を彼の胸に当てて放電する。
虚無。
AEDの電気ショックは、虚無世界に暗雲を呼び寄せ、稲光と雷鳴を轟かせた。
「ロバートを探さないと」アリアドネがコブに声をかける。
「ロバートはどこに居る」コブはモルに聞く。
「渡さないわ」モルは言う。
「俺と引き換えだ」コブが言う。
「そんな!ダメよ!」アリアドネ。
モルはコブを見つめ「ポーチにいるわ」と言う。
「見てくれ」コブはアリアドネに指示する。
アリアドネがポーチへの窓を開けてみると、縛り上げられたロバートがぐったりとしていた。
「居るわ! 生きてる!」アリアドネが言う。
「彼と戻れ」コブがモルを見たままアリアドネを見ずに言う。
「ここに残らないで!」アリアドネ。
「残らない」コブが言う。
モルがコブを凝視する。
「もうすぐサイトーが落ちてくるはずだ。彼を連れて帰る」
再度稲光、雷鳴。上でイームスが蘇生処置をやっているのだ。
「アドリブよ」アリアドネはロバートを崩れたポーチの壁から突き落とす。
暗黒の闇へ落ちていくロバート。
第3階層でイームスが何度目かのADEの電気ショックを与えると、ロバートは息を吹き返し、目を開いた。
ロバートの目の前には金庫室の大きな扉。
「中に入れ」イームスはロバートにそっと言った。
ロバートはふらつく足取りで扉の前へと歩いた。
「モルはもういない」コブはきっぱりとモルに言った。
「私は信じているわ。あなたを」モルが言う。
「君を信じていたかった。 完璧だけど欠点もあるモルだったら・・・・・・」コブがモルに言う。
モルは目を見開いてコブを見る。
「でも君は違う。 君は影でしかない。 似せてみたつもりだったけど・・・・・・」
「痛みは本物よ!」突然モルがナイフを振りかざしてコブに振り下ろす。
同時に銃声が鳴り響く。 アリアドネがモルを撃ったのだ。
アリアドネは倒れたモルに、追い討ちをかけに行く。
「ダメだ」コブがモルを庇った。
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