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「キック」の定義(ルール)を徹底解説!
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「キック」の定義(ルール)を徹底解説!

映画「インセプション」において、夢から覚めるルールは基本的には以下の3つです。

 ・ドリームマシンのタイムアップ(停止)

 ・夢の中で死ぬ

 ・「キック」で起こす

上記の内、劇中でスリリングな展開を演出するルールが「キック」だと言えます。 しかし、この「キック」の定義が劇中で明確になっていないことにより、インセプションを観た人たちの間で、色々な説が持ち上がっているようです。

ここでは、様々な推測がされている、キックの定義(ルール)についての諸説を、徹底的にご紹介していきたいと思います。


【現状考えられている「キックの定義」 3つの説】

説1.上階層でキック説 [1つ上の層で実行:夢世界では対象者は受動的(自力ではキック不可能)]

眠っている体の内耳に、落下感や衝撃といった刺激を与えることで、意識を覚醒させる。 つまり夢の中で活動する本人は、キックに対して受動的。


説2.現階層でキック説 [自分がいる層で実行:夢世界で対象者は能動的(自力でキック可能)]

夢の世界にいる方の体の内耳に、落下感や衝撃といった刺激を与えることで、1つ上の層(or 現実)で眠っている体の意識を覚醒させる。 つまり夢の中で活動する本人は、キックを能動的に実施可能。


説3.上・現階層同時にキック説 [1つ上の層と自分がいる層で協調して実行(自力ではキック不可能)]

眠っている体の内耳に、落下感や衝撃といった刺激を与える。 そのタイミングに合わせて、夢の中の体の内耳にも刺激を与える。 つまり夢の中のみでキックを実施することは不可能。



キックに関する各説の説明

説1.上階層でキック説

 【根拠】

  1.サイトーへのエクストラクションのミッションにおいて、ナッシュがアーサーの指示でコブにキックを

   して起こしたのは1つ上の階層からであった。

   これは、この説の根拠となると同時に、下層にいたコブと連携していない点から説3の否定になる。

  2.バンの着水で現実へ戻っていない。

   これは説2の否定になる。 鎮静剤が原因で戻れなかったのであれば、そもそもこのキックは危険な

   割に大きなリスクを負うことからメンバーが採用するとは考えにくく、やはり説2には否定的な理由と

   なる。

 【ポイント】

  各層でタイミングを合わせる理由は、下層にてミッション遂行中のメンバーがキックまでのタイム

  リミットを知るため。 上の層からのキックで覚醒するためには、その1つ下の層で目覚めている必要が

  あると思われる。(そうでなければ中間層のキックは必要ない)そのためキックで覚醒する順序は重要。

  キックが失敗した場合、死ぬことが許されない今回のミッションでは次のキックを待つか、タイムアップ

  まで現層で生き抜かなければならない。

 【矛盾点】

  1.Limbo(虚無)でロバート及びアリアドネがビルから落ちて第3階層へ戻れたのは何故か?

    ※Limbo(虚無)からの帰還は、虚無の中での死によって行われる(コブ夫妻のケースから)ので

     矛盾ではない、とも考えられる。

  2.この説であれば、本来不要なはずの第3階層で要塞の爆破が、ロバートが虚無に落ちる前からの

    決定事項だったのは何故か。(参考:ページの後半部分

    ※この爆破はキックではなく、メンバーが建物に籠もることにより、敵に包囲されてしまい、防ぎきれ

     ない敵を吹き飛ばすためであった、とも考えられる。(外壁を続々と登ってくる敵兵の映像がある)

    ※この爆破は、本説を正当化する上で一番の矛盾点であり、シナリオ上のバグ(ミス)ではないかと

     いう声も少なくないようだ。(この矛盾を解消する為に説3が生まれたとも言える)

  3.バンが橋を突き破った衝撃(第1キック)で、第2階層に残っていたアーサーが覚醒していない。

    第3階層に潜っていて、第2階層では眠っていたコブ達が覚醒しなかったのは理解できるが。

    ※都合の良い解釈でいえば、覚醒するには衝撃が足りなかった、とも考えられる。


説2.現階層でキック説

 【根拠】

  1.説1の「上階層でキック説」であれば不必要な、第3階層での要塞爆破が、事前の決定事項として

    行われている。 これは説1の否定になる。

 【ポイント】

  この説を取ると、虚無でのロバート・アリアドネのビルからの落下はもとより、最大の矛盾と思われる

  第3階層での要塞爆破が説明付けられるが、その他の矛盾点で、説明がつかなくなってしまいそうだ。

  自力キックであるため、キックに失敗した場合、もう一度やり直せる。(死ななければ)

 【矛盾点】

  1.自らキックの行動を起こせるのであれば、キックは連鎖させる必要はなく、ミッションが終わって、

    順次下の層から上の層へキックで戻る方が安全では?

  2.バンの着水で現実へ戻っていない。 強い鎮静剤が原因で戻れなかったのであれば、そもそもこの

   キックは危険な割に大きなリスクを負うことから、メンバーが採用するとは考えにくい。

   ※現階層でキック説のこれらの矛盾点に対する有力は反証はないようだ。


説3.上・現階層同時にキック説

 【根拠】

  1.説1の「上階層でキック説」であれば不必要な、第3階層での要塞爆破が、事前の決定事項として

    行われている。 これは説1の否定になる。

  2.バンが橋を突き破った衝撃(第1キック)だけでは、第2階層にいたアーサーが覚醒していない。

    これは、この説の根拠となる。

 【ポイント】

  第3階層での要塞の爆破がキックの一部として必要だったと考える場合に、この説が発生する。

  「上階層でキック説」以上に繊細なタイミングが要求される。

  キックに失敗した場合、もう一度キックするためには、打ち合わせなしでタイミングを合わせなければ

  ならないという難易度の高いキックとなる。またはタイムアップまで現層で生き抜かなければならない。

 【矛盾点、および矛盾を解消する回答】

  1.サイトーへのエクストラクションのミッションにおいて、ナッシュがコブを浴槽に突き落としただけで、

    コブが覚醒したのは何故か?

    ※都合の良い解釈でいえば、夢の世界に水がなだれ込み、それに巻き込まれた衝撃が、現層での

     キックに相当した、とも考えられる。

     ただしその場合、バンの着水でも、エレベータの落下でも、その1つ下の層に相応のショックを

     与える現象が発生する理屈になるので、やはり現層でのキックは必要なのか?という疑問が残る。



キックに関する考察

まず、キックの定義が話題になっている原因は、劇中でキックのルールが明確に語られてない点にあるでしょう。

物語序盤で、コブの起こし方が分からないナッシュに対して、アーサーが「キックだ。 落とせ!」と指示しています。 ナッシュはコブ達からあまり信頼を得ている感じではありませんが、設計士として作戦に呼ばれているくらいの基本的な腕は持っているし、これが初任務というわけでもなさそうです。

その彼が、キックについて知らないということは、通常キックという手法は使わないということを物語っています。

通常任務では、死ねば覚醒できますし、何より「深い層へ行く」という発想自体がスペシャリストとしてのコブたちのスキルの高さを示しているのだと思います。 エクストラクションへの防衛を学んでいるサイトーやロバートが、「夢の中の夢」ということに驚いている点も、それを裏付けています。


死ねば覚醒できるというルールがある以上、キックが使われる機会は多くはないのでしょう。 夢の中の状況が分かっていない1つ上の層(or 現実世界)ではタイミングが分からないからです。(ここでは「説2.現階層でキック説」を否定している点はご了承ください) また、ロバートも第2階層のホテルのトイレで「夢なら死んだら戻れるだろう」と、いきなりピストルで自殺しようとしているところを見ると、夢では死んで戻る、というのが、業界のデファクトスタンダード(笑)なのでしょう。


また物語後半で、アリアドネとロバートがLimbo(虚無)のビルから落ちることで、第3階層に戻っているシーンが、「キック」のルールに混乱を引き起こしている原因のひとつだと言えます。 しかし、コブとモルとの会話で、虚無から脱出するには、死ぬしかなかった、という事を聞いたアリアドネのまさにアドリブ的行動だったと思われます。 虚無についての詳しい解説はこちら。


さて、Limbo(虚無)からロバートとアリアドネが落ちた件が「虚無からの脱出のための死」だと解決すれば、ここまではキックに関しては「つまり寝てるヤツを起こすこと」(起こし方に落下感や衝撃が必要ですが)としてまとめられるのですが、問題は第3階層の雪山で要塞を爆破するシーンです。

虚無に行ったコブとアリアドネに対するキックとできるのであれば、まあ「イームスは虚無のルールをよく知らなかったから爆弾を使ってキックしようとした」と言えるのですが、この爆破は、虚無へ行くことになる前から決まっていたということを裏付ける台詞があるのです。 ロバートが撃たれて死に、虚無へ行ってしまったとするコブは、「失敗だ」とミッションの失敗を宣言し、「爆破の準備をしよう」と言うのです。

この爆破にキックの意味を持たせようとして生まれたのが説3の「上・現階層同時にキック説」だと言えます。


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