虚無(limbo)を徹底解説!:映画「インセプション[INCEPTION]」徹底解説サイト

虚無(limbo)を徹底解説!
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虚無(limbo)を徹底解説!

映画「インセプション」では、夢に階層があります。 ドリームマシンを使用して入った夢の中で、更にドリームマシンを使用して夢を見ると、夢の第2階層に入るという原理で、更に同様の手順を繰り返すと、第3階層に入るというわけです。 しかし、無制限にどこまでも深い層まで降りていけるわけではありません。 深い層へ行けば行くほど、夢は不安定になってくるのです。

ここでは、虚無(limbo)についての解説を徹底的にご紹介していきたいと思います。


【limboについて】

本作でのlimboは、日本語訳で「虚無」とされているが、「辺獄」や「監獄」、「忘却」といった訳し方もある。 劇中で姿を見せる「limbo」は、「形の無い夢。潜在意識以外何も存在しない」と語られたり、「何もかも忘れてしまう忘却の空間で、精神が迷子になってしまう場所」という設定である。 「虚無」というと「何も無い」感じは出ているが、今回の「limbo」を直感的に表してないのではないか、という意見も多いようだ。


【虚無(limbo)への行き方と特徴】

虚無へ行く方法は2つあると思われる。

1つはドリームマシンを使用して、どんどん深い層へ下りていく方法だ。 いずれ虚無に辿り着く。(下記【虚無の構造】参照) この場合、虚無に下りた人間は、そこが現実ではなく、虚無である、という認識を持っている。 その認識を持っていれば、虚無から抜け出すことはできる。 抜け出すためには「死ぬ」ことだ。 また虚無に来た当初は、ここが現実ではないという認識を持っていても、長時間滞在する内に、現実を忘却してしまうのか、ここが現実だと思い込んでしまう可能性もある。 かつてのモルもそうであった。

もう1つは、今回のミッションのように、強い鎮静剤が効いているなど「夢の中で死んでも覚醒できない」状況で死亡してしまうと、虚無へ落ちる。 この落ち方をした人間は、そこが夢の中であることを忘れ、現実だと思い込んだまま生活をするハメになる。 こうなると、たとえ現実世界の体が目覚めても、精神が戻ってこれず、現実では廃人のようになってしまう可能性がある。 虚無から戻るためには「ここは現実ではない」という認識を取り戻し、そして死ぬことが必要と思われる。


【虚無(limbo)からの脱出について】

虚無にも夢と同じルールが適用できるのか? という事については、劇中では深く語られていない点のひとつでもある。 コブの言を信用するのであれば、かつてモルを虚無から引き戻すために「ここは現実じゃない」とインセプションするだけでなく、「戻るには死ぬしかない」と言っていることから、虚無にはキックが通用せず、脱出のためには死ぬしかない、という推測が出来きる。 もしキックでも覚醒可能なのであれば、コブは1人で先に死に、上からキックでモルを起こすことが可能となる。

また、「死ぬ」といっても所詮は夢なので、物理的に肉体が破壊される必要は無く、本人が「これは絶対死ぬ!」と認識する状況があればよいと思われる。 たとえばビルから落下したアリアドネは、地面に叩きつけられてバラバラに砕け散る必要は無く、超高層ビルから飛び降りた、という「死のシチュエーション」で良いのだろうと思われる。


【虚無の構造】

ここでは、夢の構造全体について考察してみる。

第1階層や第2階層といった「通常の夢」と、「虚無」に違いはあるのか、それとも虚無も単なる夢の1階層に過ぎないのか?(例えば第4階層=虚無である、とか)

コブによるとLimbo(虚無)は「形の無い夢。潜在意識以外何も存在しない」ということである。 逆に言えば、通常の夢は、「潜在意識中の、形のある夢」と言えるのではないだろうか。

これら、劇中から得られる情報を元に、潜在意識、夢、虚無についてのイメージ図を描いてみた。

なお、言うまでもないことだが、ここで解説している内容は、あくまで考えられる説の紹介であり、「これで正解!」という物でない事にご留意いただきたい。 インセプションという映画では、それは至るところで適用できるエクスキューズである。

潜在意識、夢、虚無(limbo)のイメージ図1潜在意識、夢、虚無(limbo)のイメージ図2


他にも諸説あるかもしれないが、ご紹介するのは上の2つの考え方で、図の説明をすると、どちらも夢の世界は潜在意識で作られている点に違いは無いが、その捉え方に若干の違いがある。 それを以下で解説する。


1.階層固定説(左の図)

左の図1は、虚無も階層構造の1部だが、それを虚無たらしめているのは、夢の最終階層である点である。

今回のミッションでは第4階層が最終層であり、虚無になっていたが、常に第4階層が虚無になっているのかどうなのかは不明。 今回は第3階層まで作戦に使用するため、ユスフの作った鎮静剤で、確実に第3階層までは安定した夢を提供できるようになっていて、ギリギリで第4階層まで維持可能だったから、第4階層が虚無になっていたと考えられる。 または、鎮静剤では第3階層までの構築が限界で、最終的な層として常に虚無が存在しているため、第4層に虚無があるように見えたのかもしれない。

今回のミッション中に、死ぬと虚無に行くのは、本来死んだら1つ上の階層に行くはずの意識が、強力な鎮静剤という壁に阻まれて、最下層に落ちるイメージか?


2.潜在意識内包説(右の図)

右の図2は、各階層の夢は、潜在意識という大きなフィールド上に構築されている、とするものである。

虚無の位置づけは、夢の階層の1つというものでなく、「形のある夢」になれなかった、潜在意識のフィールドそのもの、という扱いとなる。 潜在意識の一部が虚無なのか、潜在意識全部が虚無なのかは定かではない。

今回のミッションでは、第3階層まで作戦で使用するため、ユスフの作った鎮静剤で、その層の夢の構築までは可能であったが、そもそも深度が深くなればなるほど、その階層の安定を保つことは難しくなり、第4階層では夢としての形を保てないため、第3階層から下りたところが虚無になっていたと考えられる。

今回のミッション中に、死ぬと虚無に行くのは、本来死んだら1つ上の階層に行くはずの意識が、強力な鎮静剤という壁に阻まれて、夢の外側=虚無(まさに辺獄)に落ちてしまうイメージか?


※虚無から脱出するためには死ぬしかない、というルールが正しい場合、図1だと虚無は最下層とはいえ夢の1階層に過ぎないのに、なぜ特殊なルールが適用されるのか、という疑問が湧きそうであるが、図2だと、虚無から「形のある夢」もしくは「現実」に戻るのに特殊なルールがあったとしても不思議ではない。

 また、コブとサイトーが虚無から一気に現実世界へ帰還したように見えるシーンも、図1・図2ともに第1階層〜第3階層までのドリーマーが覚醒していて、各層自体が消失しているので直接目覚めた、と言えなくも無いが、図2の方が虚無から現実へ一気に帰還しても不自然ではないように思える。


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