シーン7:偽装士イームス〜モンバサの冒険〜
ケニア、モンバサ。
カジノでチップを手で弄んでいるイームス。
「こすっても増えないぞ」イームスに声をかけるコブ。
「どうかな?」イームスは答える。
「1杯やろう」と、向こうのバーへ誘うコブ。
「おごれよ」と言いながらイームスは賭けの席を立ち、チップを換金所に持っていく。
「変装は大丈夫か?」換金窓口で手続きをするイームスに、早速コブは仕事の話を持ち出す。
「楽勝だ」イームスは振り返りもせず答え、窓口で受取のサインをする。
「スペルが違うな」とコブ。
「ほっといてくれ」イームス。
場所をバーに移し、窓際の2人掛けのテーブルで話すコブとイームス。
「インセプションだ。できると思うか?」コブが言う。
「不可能ではないが、難しいな」イームス。
「アーサーは無理だと」コブ。
「アーサー!まだつるんでるのか!」驚くイームス。
「腕はいい。一流だ」コブ。
「ヤツは想像力に欠けてる。 インセプションには不可欠だ」イームス。
「インセプションが難しいと言ったが、やったことがあるのか?」コブがイームスに聞く。
「ある」イームスは答えた。
「どうなった」身を乗り出して聞くコブ。
「失敗した。植え付けたが、定着しなかった」
「浅すぎたのか?」コブ。
「深さだけの問題じゃない。 植えつける内容がシンプルじゃないといけない」イームス。
「何をインセプションする?」イームスが聞く。
「父親から継ぐ企業を、息子に崩壊させるように仕向ける」コブ。
「政治的な目的。市場の独占。とにかくターゲットの先入観に影響を与えることだ。感情に訴えるんだ。例えば父子関係」イームスが思いつくキーワードをアウトプットするように、考えながら話す。
「調合師に当てはあるのか?」イームス。
「いや」コブ
「いい調合師がいる。オリジナルのを調合してくれる」イームス。
「会いに行こう」コブ。
「まず尾行を巻いてからだ、バーにいるあの男・・・」イームスがさりげなく指し示す。
「俺の賞金は生死は問わずか」コブ。
「撃ってくればな」イームス。
「よし、あの男の気を引いてくれ。30分後にここの下で会おう」コブ。
「ここで?」イームス。
「裏をかく」コブ。
早速立ち上がり、尾行の男に近づくイームス。
「フレディ? フレディ・シモンズ!? 久しぶりだな」イームスは旧友に出会った体で男に近づく。
戸惑う男。
コブはこの隙に窓から飛び降りる。
「人違いか」イームスはわざとらしく謝る。
コブが着地すると、外で待機していた男がすかさず襲い掛かってくる。
「逃がすか!」叫んで突進してくる男をかわし、逃走するコブ。
すぐに追っ手がかかり、その数も増えてくる。
市場や路地を駆け抜け、追跡者たちの視界から外れた隙を狙って食堂らしき建物に逃げ込むコブ。
そこは地元の住民が集っているような食堂で、コブは完全に浮いている。
しかし仕方がないので、わずかに空いている席に肩身を狭そうにして掛ける。
店の者らしき男が来て、コブに何事か言っている。 コブは「コーヒー」というが、現地の言葉が分からない。
男は大声で何かコブに言っている。 コブは口に指をあててみたり、少しだけいさせてくれ、という意思表示をするが、男は声を荒げ始め、立ち去れというような仕草をはじめる。
周りが注目し始め、店の前にいた人たちも何事かと店の中を覗き込み人だかりができる。
その人だかりが追跡者の目に留まり、追跡者が店内に入ってくる。
コブは追跡者が間近に迫ってきたため、席から飛び出して逃げる。
追跡者の男のひとりがコブにタックルして引き倒す。コブは相手の顔を蹴り飛ばして何とか逃れ、再び走る。
ついに後ろから追跡者たちが発砲してきた。
コブが走り抜ける店内の無関係な人間が何人か流れ弾にあたってしまう。
コブはたまらず窓から飛び出し脱出する。
すぐに脱出した道にも追っ手が来て発砲してくる。
コブはとにかく走って銃弾を回避。
途中で極端に狭い、通路ともいえないような建物と建物の隙間があったので、銃弾を避ける為にそこに入り込む。
隙間を抜けようとするが、体が挟まってしまい、思うように前に進めない。
追っ手にこの隙間まで追いつかれたら確実に撃たれるので、必死に前に進み、ギリギリのところで向こう側に抜け出し、走る。
すぐにまた追っ手が現れる。
その時、コブの背後から急にスピードを上げて車が突っ込んできて、コブの横を通過したところで後部座席のドアが開き、コブの目の前の追っ手の男を開いたドアで吹き飛ばして急停車する。
後部座席のドアを開いていたのはサイトーだった。
「サイトー!?」驚くコブ。
「乗れ」サイトーが短く言う。
とりあえず車に飛び込むコブ。
車は発進する。
「どうしてここが?」と聞くコブに「投資したものは守る」と言うサイトー。
車はイームスと約束した元の店の前に戻る。
イームスが待っていたので車を停める。
車のドアが開き、そこにコブの姿を見るイームス。
「捕まったのか?」軽いノリで言うイームス。
「いや、別口だ」と答えるコブ。
車はイームスを乗せて、再度発進する。
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