シーン5:資格と資質〜設計士のテスト〜
屋外で立ったまま話すコブとアリアドネ。
「まずはテストだ」とコブ。
「テスト?」とアリアドネ。
「実力を知りたい」コブ。
「なぜ?」
「合法の仕事じゃないからだ」
意外そうな顔をするアリアドネ。
コブはメモ帳とペンを取り出し、アリアドネに渡す。
「解くのに1分以上かかる迷路を2分以内に書け」コブが指示する
アリアドネはメモ帳の方眼に沿って線を引いて迷路を書く。
「時間だ」コブがメモを受け取る。
迷路をすんなりと解いてしまうコブ。
「簡単すぎる。もう一度」メモ帳を再びアリアドネに手渡すコブ。
ため息をつき、再度同じような手順で迷路を書くアリアドネ。
その迷路も、簡単に解かれた。
「もっと難解なものを」コブはもう一度要求する。
アリアドネは少し考えて、メモ帳を裏返して方眼模様のない紙に円を書き、円形の迷路を書き、コブに手渡す。
コブはスタート地点にペンをつけるが、しょっぱなから進む方向に迷う。
アリアドネを見て「なかなかだ」と、合格を言い渡す。
アーサーはメモを見ながら街の一角にあるビルを探し当てて、鍵を開けに入っていく。
中はがらんとした天井が高く、広いワンフロアで、イスや机が乱雑においてある。
アーサーはそれらを移動させ、ドリームマシンを設置したりと、アジトづくりに余念がない。
その頃、街角のカフェテリアのオープンテラスに座って話をしているコブとアリアドネ。
「夢に限界はない。 何だってできる」コブは言う。
「例えば?」アリアドネが問う。
「普通ビルの設計は複雑で、詳細に行う」コブは言うとアリアドネは頷く。
「しかし、ある時ふとビルの完成系が頭に浮かぶことがある」とコブ。
「コレだ!って感じね」アリアドネが同意する。
「そう、インスピレーションだ」
コブの言葉に頷くアリアドネ。
「その連続が夢だ」コブは続ける。
「思ったことがそのまま実現できる。それが夢だ。」
「普通、夢は見ている本人が作っている。だが設計士は夢を見ている人間の潜在意識に入り込み・・・」
コブは図を描きながら説明する。
「夢を乗っ取る」
「普通夢は知らない間に夢を見ている。夢を見ている間は夢が現実だ。夢から覚めてはじめておかしな夢だったと思うんだ」
コブの話を聞き、少し首を捻るアリアドネ。
「どうやってここに来た?」突然コブはアリアドネに質問する。
「ここに来る前は何をしていた? ここはどこだ?」続けて質問するコブ。
考え込むアリアドネ。
「もしかして・・・・・・、ここは、夢?」恐る恐る辺りを見渡すアリアドネ。
「そう、これは実習だ」コブは言う。
「夢の実習、初級編だ。 いいか、落ち着けよ」コブは言って、深々とイスにかけなおす。
アリアドネがものめずらしそうに辺りを見ていると、突然街の一角が破裂する。
爆弾が爆発したのではなく、突然物質がはじけるような感じだ。
次々に、道路、ビルの壁、果物屋の商品、街の至るところが破裂する。
コブやアリアドネが座っているそばの道やカフェテリアも、破裂する。
破裂の破片を避けるコブ。
「どうして避けるの?」最後まで言い終えずにアリアドネは破裂に巻き込まれる。
ハッと現実世界に覚醒するアリアドネ。
「ただの夢じゃない。 ガラスが刺されば痛い」コブも覚醒していた。
「軍も使っている。夢の中で殺し合ってるんだ」とアーサー。
「設計士って何をするの?」アリアドネが聞く。
「夢を作る人間さ」コブが答える。
「もう一度5分だ」コブはアーサーに言う。
アーサーは機械をセットし始める。
「5分!?1時間は居たわ!」戸惑うアリアドネ。
「夢の中では心の動きが早いから、時間の流れを遅く感じる」コブが説明する。
「こっちの5分が夢の中では1時間だ」アーサーが付け加える。
「5分で何が作れるかな?」アリアドネに言うコブ。
アーサーがマシンの中央のボタンを押すと、二人は再度夢に入り込んだ。
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