シーン27:覚醒の連鎖〜キックの成功〜
第3階層。 イームスが起爆スイッチを押す。 爆発が起こり、建物が崩壊を始める。
第2階層では、エレベータの箱が無重力の中を爆風によって猛烈な勢いで推し進められた。
第1階層では、バンが着水するところだ。
第3階層の爆発の影響で、コブとモル、アリアドネがいる虚無のビルも崩壊し始めた。
「キックだ。先に行け!」コブがアリアドネに叫ぶ。
「必ずサイトーを連れて、戻ってきて!」アリアドネが叫ぶ。
「分かった!」コブが頷いたのを見て、アリアドネは崩れ行くビルの下へと飛び降りた。
アリアドネが目覚めると、第3階層は爆発の真っ最中で、今まさに自分が寝ている床が崩れ落ていた。
その時、第2階層のエレベータが一番下まで落ち、その衝突でアリアドネを含む、ホテルで眠っていたメンバー全員が衝突の勢いで跳ね上がるエレベータ内で目覚める。
第2階層で何が起こったか理解する間もなく、第1階層のバンの着水の衝撃で、バンの中で眠っていたコブとサイトーをのぞくメンバーが、沈み行くバンの中で目覚める。
崩壊を続ける虚無のビルの中。 コブはぐったりとしたモルを抱え起こしていた。
「プロポーズの言葉を覚えてる・・・・・・?」モルが聞く。
「ああ・・・・・・」優しく答えるコブ。
「一緒に年を取りたいって・・・・・・」モルが言う。
「取ったろ・・・・・・」コブ。
年を取った2人が手をつないで無人のビルの街を歩く姿を思い出すコブ。
「忘れたのか?」
見詰め合うコブとモル。
「君を失うなんて耐えられない」コブは言った。
「でも、一緒にいられない」
「もういい・・・・・・。十分だ・・・・・・」モルを抱きしめるコブ。
モルは涙を流し、コブの腕の中で息絶えた。
水没していくバン。
ロバートは目隠しとして頭に袋をかぶせられていたので、イームスがピーターに姿を変えて引き上げる。
何とか河を泳ぎきり、河のほとりでたたずむロバートとピーター。
「すまなかったな」ピーターに扮したイームスが言う。
ロバートは河辺に座り、遠くを眺めている。
「遺言の意味は、自分自身の道を行け・・・・・・。真似でなく・・・・・・」ロバートが言う。
「だから、そうするよ」と呟く。
その言葉は、ピーターに言ったのか、父に言ったのか。
アーサーとアリアドネは、バンの中に積んであった酸素ボンベを使って、まだ車内にいた。
アーサーはコブを引き上げようとするが、作業は難航し、引き上げは諦めて泳いでいく。
アーサーとアリアドネは、ロバートたちから離れた場所にあがった。
「コブはどうした?」アーサーが聞く。
「残ったわ」アリアドネが言う。
「モルと?」アーサーは聞く。
「サイトーのためよ」アリアドネが言う。
「サイトーを? 無理だな」アーサーは肩を落とす。
「戻るわ」アリアドネは確信しているように言う。
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