シーン20:第2階層〜ホテル〜
「つまらない?」ブロンドの髪の女がロバートの顔を覗き込む。
ホテルのバーのカウンター席に座り、ブロンドの美人と話しているロバート。
「私の話、聞いてないでしょ?」ブロンド女が言う。
ロバートはハッとして「ああ、失礼・・・。ちょっと考え事を・・・・・・」と幾分混乱気味に答える。
バーの近くで、事の成り行きを見つめるアーサーとアリアドネ。
「チャールズだ」アーサーが、バーに向かってスーツ姿で歩いていくコブを見ながら言う
バーに入り、ロバートの後ろから彼に近づくコブ。
「フィッシャーさん?」コブはロバートに声を掛ける。 ロバートはコブを見る。
「マーケティング部のグリーンといいます。ちょっとお話が」コブは言った。
コブはロバートと女の間に入り「君は?」と女に言う。
女は鼻で息を吐き、紙ナプキンに何かを書いて「電話して」と言ってロバートに身を寄せて渡し、立ち去る。
「フラれた」コブはロバートに言う。
ロバートは少しだけ不快そうな顔をする。
「6桁の電話番号があれば別ですがね」コブはロバートに言う。
ロバートは受け取った紙ナプキンをチラリと見る。「528491」と書いていた。
「あれが手口なんです」コブはロバートに言う。
ロバートは何のことを言われているのか分からない。
「ああやって財布を抜き取っていく」コブが言う。
ロバートは慌てて自分のポケットを探るが財布がない。
「くそ、財布だけで・・・」ロバートがつぶやく。
「500ドル以上するのに?」コブはロバートが言おうとした続きを引き取るように言った。
驚くロバート。
「ご心配なく。既にセキュリティの人間が取り戻しに行っています」とコブ。
「ああ、それは・・・、どうも」困惑してグリーンと名乗ったコブを見るロバート。
ブロンド女がバーから出て行くのを見ているアーサーとアリアドネ。
「ミスター・チャールズって何なの?」と聞くアリアドネ。
「作戦名みたいなものだ」アーサーが答える。
「どんな作戦?」
「ターゲットにここが夢の中だと教えるんだ。」
「反対してたみたいだけど」アリアドネはバンの中でアーサーが反対していたことを思い出した。
「ターゲット教えると動きにくくなる」
「マズイのでは?」アリアドネ。
「それをやるのがコブだ」アーサーは言った。
ブロンド女はホテルの通路を通り、エレベータのボタンを押す。
開いたエレベータにはサイトーが乗っていて、エレベータを出ようとするが、女はサイトーにぶつかって体を密着させる。
「サイトーさん」女は身を寄せてくる。
「ええと、これは・・・・・・」取り乱すサイトー。
エレベータのドアが閉まるとブロンド美人はイームスの姿に戻る。
「元気そうだ」イームスが言った。
「笑えないぞ」イームスを突き放してサイトーが言う。
「500ドル以上する財布だ」イームスはロバートから摺った財布をサイトーに渡す。
「早めに捨てた方がいい。セキュリティの人間に気付かれる」イームスが言う。
エレベータが大きく揺れる。
「乱気流か?」サイトーが言う。
「ユスフの運転だな」イームス。
エレベータのドアが開いた。
「時間を稼いでくれ」エレベータを降りるサイトーに、イームスが言った。
サイトーがエレベータから降りて客室のドアが並ぶ廊下を歩くと、後ろからセキュリティと思われる男がつけてくる。
男はどんどんサイトーに近づいてくる。
サイトーは廊下の壁の出すとダストシュートに財布を放り入れて足早に歩く。
後ろから歩いてきた男はダストシュートの前で立ち止まり、中を確認する。その隙にサイトーは男をまいた。
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