シーン01:虚無の海岸〜忘却の老人〜
荒々しい波が岩を削っている。
砂浜。
波打ち際に男が一人倒れ、波に洗われている。コブである。
半分波に浸かったまま、まどろんでいると、砂浜で小さな男の子と女の子が、笑い声を上げて砂遊びをして遊んでいる姿が見えた。
コブの背中を、誰かが持った銃の先端がつつき、コブが無反応であることを確かめると、そのまま上着を少しめくる。
コブのズボンにはピストルが差してあった。
銃の主は警備服を着た男であった。
「おい、ちょっと来い」
崖の上で見張っていた男の仲間に声をかける。
それぞれ銃を持った数人の男たちがコブの周りに集まる。
彼らは、コブを城のような屋敷へと運ぶことにした。
屋敷の奥の広い部屋には、皺深い老人が座っていた。
「まだ朦朧としているようですが、貴方様の名前を知っておりました」
「おい、お見せしろ」黒服の男が言う。
2人の男が引きずるようにコブを連れてくる。
「所持品はコレと、コレです」
ピストルと銀色のコマをテーブルの上に置いて報告する黒服。
それを眺める老人。
コブには、豪華とは言えない食事が与えられた。
食事にがっつくコブに、老人は語りかける。
「殺しに来たのか?」
コブは食事から顔を上げ、老人を見つめる。
老人はコマを手に取る。
「これと同じものを遠い昔に見たことがある」
何も答えないコブ。
「夢の中で会った男が持っていた」
「途方もない考えにとり憑かれている男だった」
老人はそう言ってコマを回す。
コブはそのコマをじっと見つめた。
[PR]クリストファー・ノーラン監督 その他の作品
フォロウイング
メメント
インソムニア
バットマン ビギンズ
プレステージ
ダークナイト
スポンサード リンク