
シーン9:調合師ユスフ~夢と現実~
調合師ユスフの店にやってくるコブ、イームス、サイトー。
「お仕事用の薬?」ユスフが言う。
「同行して欲しい」とコブ。
「出張はやってないんだ」拒否するユスフ。
「今回はかなり深くまで潜る必要がある。同行してもらって状況に応じた調合をして欲しい」とコブ。
「目的地は? 第2段階?」興味を引かれたユスフが聞く。
「いや。 第3段階だ」コブ。
「無理だ。第3段階までいくと、夢がかなり不安定になる」ユスフが言う。
「だから鎮静剤がいる」コブ。
ユスフはニヤリと笑って言う「とびきりパワフルなヤツがな」
「メンバーは?」ユスフが聞く。
「5人だ」コブ。
「6人だ」サイトーが口を出す。
「成功したかどうかを確認するには、同行するしかない」サイトーが言う。
「観光客の席はない」イームスが言う。
「なら特別席を作れ」サイトー。
誰もスポンサーには反論できない。
「これから始めよう。 毎日使ってるんだ」ユスフが言い、薬を見せ、鍵の束を取り出す。
「案内してくれ」コブが言う。
階段を降り、地下と思われる薄暗いフロアに下りる、ユスフと案内の老人をはじめとしたコブ、イームス、サイトー。
地下では12人の人間が夢を共有して眠っていた。
「こいつらは毎日のようにここに来て夢を見てるんだ」ユスフ。
ユスフが、その内のひとりの頬を、強めに何度か叩いてもまったく目覚める様子はない。
「効果抜群だろ」ユスフ。
「こいつらは1日にどのくらい夢を見ていくんだ?」コブが聞く。
「だいたい1日3~4時間だ」ユスフ。
「この薬だったら40時間くらいまでなら行けるぜ」とユスフ。
「こうしないと眠れないのか?」サイトーは眠っている人たちを見ていった。
案内の老人が言う「彼らは眠りに来ているのではない。目覚めに来ているんだ」
顔を見合わせるメンバー。
「彼らにとっては夢こそ現実なんだよ」コブを見つめて言う老人。
「君は違うのかね?」老人に言われ、戸惑うコブ。
「薬を試してみよう」コブは手近なベッドに横になり、夢へ入る。
コブは線路を枕にして寝ている。
ゆれる線路。列車が近づいているようだ。
「私を見つけて」突然モルのイメージが浮かんだ。
「すべきことをして」モルが言っている・・・
ショックで目を覚ますコブ。汗まみれだ。
洗面所で顔を洗い、疲れた表情でトーテムのコマを回そうとするが、手がうまく動かず取り落としてしまうコブ。
「大丈夫か?」サイトーが洗面所の入り口でコブに声を掛ける。
コマを目にするサイトー。
コブは急いでコマを仕舞い、「大丈夫だ」と答える。
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